涅槃

倒れたままの姿で横たわる。

表皮は浮き上がり木肌は風雨にさらされる。

蜘蛛が罠を張り虫たちが住まう。

身に苔を纏い菌の苗床となる。

死してなお形を留め生命を育む。

小さき者たちの大きな宇宙。

木の生を終え、森に同化し新しい生を得る。

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この倒木をずっと眺めていた。

前から知っていたような錯覚。

出会うことが必然だったような感覚。

時間のない世界。