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執筆者の写真英雄 黒木

写真パネルを浮かせる額の作り方

更新日:2023年1月11日

よく質問される写真パネルの額装は、3つのパーツでできている。

① 額(額の本体。シナベニアを基盤にしている。)

② 中枠(パネルを浮かせる内枠)

③ パネル(写真を貼ったスチレンボード)


道具

「カッター」「片刃のこぎり」「留定規」「仮釘」「木工ボンド」「木工パテ」「マスキングテープ」「サンドペーパー」「とのこ(赤)」「ウエス(布)」「アクリル絵の具+マットメディウム」など



設計図

初めに図面で計画する。(これは大事なこと)

例えば、A2ノビ(432mm×610mm)の写真パネルの額装をする場合、パネルと外枠の隙間を15mm空けるとして、18mm幅の木枠の額を取り付けると、額の外周は504mm×676mmとなり、これが額のフルサイズとなる。また、パネルを浮かせる高さも考慮する必要がある。

それに合わせて、使う角材やベニアを購入する。

設計図を作ることで、限られた材料も計画的に使えるし端材も利活用できる。

簡易な図面なので、5mm方眼で実寸の1/10を目安に計画している。愛用は「Think NOTE.」

作成した図面は、スキャニングしてEvernoteなどで管理している。


部材

材料はホームセンターで購入できるもの。今回は以下を用意。

 ◯ シナベニア(3尺×6尺(910mm×1,820mm)4mm厚)

 ◯ 額の木枠は、15mm×40mm×1985mmの角材

 ◯ 中枠は、14mm×24mm×1820mmの角材

ベニアは手触りの良いシナベニアを使っている。

角材は、白木(モミなど)・杉・赤松、集成材などで反りの無いものを選ぶ。松系はヤニが気になるけど、基本的に店にある角材のサイズで選ぶことの方が多い。

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1. パネルに写真を貼る。

写真を貼るスチレンボードは、ハイパープロタックSブラック(7mm厚)という商品をベニアサイズで購入。

片面が接着面となっており、剥離紙が1cm方眼になっている。

まず、スチレンボードを写真よりひと回り大きく切り取り、切り取ったボードの剥離紙面の中心部に5cm幅くらいで切り目を入れておく。

写真を貼る位置を決めたら、写真が動かないように抑えながら中央の剥離紙を剥がし、写真の中央部を固定。

次に片側の剥離紙を剥がし、柔らかい布などで、中央から外側に向かって空気を抜くように貼ってい。

反対側も同様に処理したら、最後に写真からはみ出したパネルの余白を切り落として出来上がり。


その後、写真サイズよりひと回り小さく切り出したパネルを裏打ちとして重ね貼りする。

写真の反りを少なくするのと、裏面の保護のためである。

最後に写真を貼ったパネルを水平な場所に置いて、写真が傷つかないよう紙を挟んで、雑誌などを重ね圧着させる。

この圧着でパネルの反りも防ぐことが出来る。


2. 額部を作る

額の基盤となるシナベニアを設計図通りにカッターで切りとる。

ベニアは厚いので、いきなり力を入れず、何回も刃を通して、少しずつ切っていく。(4mm厚をカッターで切るのは結構な力仕事なので、本当なら工具が欲しいところ。)

次に、角材をベニアの外周と同じ寸法で揃える。

角は45度で合わせるので、留定規を使って、外寸法から内向きに45度の墨線をつけておく。

墨線に合わせノコギリ目を入れ、目が固定したら引き切っていく。

ノコギリは垂直に立て、手首と肘を固定して、墨線の延長とノコギリの刃のラインを合わせるように意識して引くと上手くいく。

ノコギリは刃渡りが短く、刃目の細かいものが使いやすい。

切り取ったら四隅にボンドをつけて仮釘で止める。


そのまま額の基盤となるシナベニアに同じくボンドと仮釘で接着する。

角材をシナベニアの形状に合わせることで、意識することなく90度の角が作れるのと、シナベニアも角材と接着することで、歪みが取れる。

ボンドが乾いたら、角の角材の段差や、シナベニアとの接着面の段差などを、鉋がけして調整する。

さらに、接着部分に隙間などがあれば、木工用パテで穴埋めし、乾いたら全体にサンドペーパーをかけて仕上げる。


3. 中枠を作る。

シナベニアに開けた窓に合わせて中枠を作る。

この中枠に写真パネルを載せることでパネルを浮かせている。

中枠の木材を切り揃え、四隅をボンドと仮釘で固定したら、額の窓に「木工ネジ」で固定する。

この時、余分なボンドがあると額と接着してしまうので注意する。










4. 額部を着色する

前作業としてとの粉で目止めする。

目止めをすることで木の表面が滑らかになり仕上がりが綺麗になる。

との粉は赤色を使用する。赤色にすることで、そのまま下地の色となる。

必要に応じて土系の顔料(ライトレッド)などで色味を調整する。

との粉と水を1:1で溶いて「どべ」状態にしたものを、額全体に薄く塗布し、との粉が乾く前に、木の表面にウエスで擦り込んでいく。

擦り込むことで木目が鮮やかに浮き出てくる。

そしてとの粉が乾くのを待って、ウエスなどで余分なとの粉を拭き取る。

との粉の作業は大変に埃が舞うので屋外での作業が良い。


赤いとの粉で目止めした額に着色する。

着色にはアクリル絵具を使っている。特に理由はないが、扱い慣れているという事だろう。

アクリル絵の具で着色する色を作りマットメディウムを加えてよく混ぜ、水で薄めて塗装する。

絵の具は、目止めの赤色が透けて見える程度に薄め、薄く数回塗り重ねる。

下地の赤色を塗り殺さないようにすると深みが出る。

着色が完全に乾いたら、最後に乾いたウエスで全体を拭き上げて仕上げる。

5. 額の組み立て

中枠にボンドをつけて、余白に偏りができないように写真パネルを接着する。

ボンドが乾くまで少し時間があるので、写真の位置合わせは焦らずに行う。

余白を均等に位置合わせする場合、自分の指の幅を利用したり、額を回転させながら調整することで簡易に位置合わせが出来る。位置合わせが終わったら、写真の表面が傷つかないよう紙を挟んで、雑誌などを上から載せて、中枠とパネルを圧着させる。

ボンドが乾いたら額装の出来上がり。


この額は、中枠と額本体を木工ネジで固定しているだけなので、木工ネジを外せは額から写真パネルを外すことが出来る。

同サイズの写真パネルさえ用意すれば、額本体を何回でも利用できる利点がある。

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