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執筆者の写真英雄 黒木

日中長時間露光(スローシャッター)

更新日:2023年8月9日

日中長時間露光に興味を持ったのは、イギリスの写真家ダレンムーアの記事を読んでからだ。(http://www.photohack.artplusjapan.com/?p=2189

時間が止まったような、幻想的な風景写真にすっかり魅了された。

もう数年前の話である。

イメージラボ写真教室に参加することを決めた時、日中長時間露光にも挑戦することを決め、教室に通う9か月の間に何とか技術を身に付けようと、個人的な裏ミッションにした。

自分なりに初めて成功したと思える写真は、筑後川の支流にある橋げた(?)を映した写真。

橋げたと言っても木組みが残っているだけで、普段は水中に沈んでいて、干潮の数時間だけ姿を見せる遺構である。たまたまGoogleMapで見つけ(航空写真が干潮だった)撮影に出かけて行った。

撮影時には、いつも撮影計画を作る。

まずは、GoogleMapで撮影場所を確認し、駐車できるような場所を探す。

そして、2日分(ほぼ土日なので)の日の出・日の入り、干潮・満潮の時間と潮の高さを計画表に転記し、概ねの撮影時間帯を決める。


それからサン・サーベイヤーと言うアプリを使って撮影時間帯の太陽の位置などを確認して、撮影場所の当たりを付け、後は現地で考える。

実はこの作業が結構楽しい。

何事も始める前の計画段階はワクワクするものだ。


その日、現場についた時はまだ潮が高く、橋げたの姿は全く見えない。

3時間ほど待つ間に、現れる場所を想像しながら撮影ポイントを数か所に絞り込む。

いよいよ橋げたの頭が見え始め、各ポイントからファインダーを覗く。

決めていた撮影ポイントが、堰を挟んで両側にあったので、護岸の堤防を何回も上り下りしながら移動し、各ポイントで試し撮りを行うが、あまり上手くない。

試行錯誤しながら移動を繰り返すうち、ふと堰の隙間から真正面に橋げたが見えた。

面白い!その瞬間、事前の撮影候補地が全て消え、堤防の道路の路肩から堰越しに橋げたを狙う。(だいたいこんな風、計画と実施は常に違う。)


急いで三脚を設置し、構図を定め、レリーズを付け、ピントを合わせ、試し撮り。

そして、カメラをマニュアルモードにし、補正を掛け、忘れないようにファインダーの窓を閉じて、NDフィルターをセット。

スマホのタイマーで時間をセットし、一息ついてレリーズボタンを押す。

露出時間20分。

冬の優しく弱い日差しとゆっくりとした引き潮、20分は勘だった。

あとはカメラ任せ。

撮影が始まると、もう何もする事が無い。

だから、椅子とラジオと文庫本は、撮影時の必須アイテム。

キャンプ用の椅子は少し良いものにした。

好きな楽曲5曲分でもいい。歩き疲れた足をやっと休めることが出来る安息の時間。


タイマーが鳴る。でも時間を気にしてカウントダウンする自分もいる。

タイマー付きのレリーズを買えばいいのかも知れないが、今は待っている自分さえ面白い。

仕上がりをすぐ確認できるのは写真の良い所。

潮の満ち引きを思うと、20分の撮影時間で撮れるのは、この後、1回か2回あるかないか。

それを逃すと、次のシャッターチャンスは潮が満ちるタイミング。

けどそれは5~6時間後の話で、もう日も暮れてしまう。。


この日、幸いなことに20分の設定は意外と正解だった。

コートの上から毛布を纏っての撮影だったが、寒さを忘れる1枚となった。







2022.01.02

AF-P NIKKOR 70-300mm f/4.5-5.6

1201秒、ISO100、F11、210mm、-0.7EV、+ND 100,000





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